お客さまは神様なのか?

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日本のサービスは過剰なのかもしれない

近年、多くの外国人が日本を訪れるようになって、日本の「おもてなし」つまりサービスの質の高さに感動している姿をよく見聞きするようになりました。
わたしたち日本人にとっては普通と思っていたサービスも、外国人にとっては手厚いもてなしのように感じることが多々あるようです。
確かに、日本のサービスは世界の中でもトップクラスと言えるでしょう。

一方で、最近問題になっているのが「カスハラ」、つまり「カスタマー・ハラスメント」です。
カスハラとは、顧客が過剰なまでのサービスを求めること、そしてそれに対応できなかった場合に悪質なクレームをしたり嫌がらせをすることです。
現在、カスハラは一つの社会問題としても取り上げられるようになっており、企業や店舗だけでなく国としても対策を強化するようになっています。
しかし、カスハラがここまで多くなってしまった背景には、「お客様は神様です」という言葉を重視する日本の過剰なサービスが原因とも言えるのではないでしょうか。

三波春夫さんが語った言葉の真意とは

「お客様は神様です」という言葉は、昭和の人気歌手である三波春夫さんが語ったとされています。
しかし、三波春夫さんが語った言葉は間違って解釈され使われるようになってしまいました。
その間違った解釈とは、「お客様は神様なので、お客様の要望には全てお応えしなければならないし、文句ひとつ言ってはいけない」という解釈です。
過剰なサービスを提供している多くの企業や店舗、さらにはカスハラをする人の多くがこのような考え方に影響されていると言えるでしょう。

三波自身さんが語ったこの言葉の真意は、「雑念を払い清い心で、完璧な歌を神様(お客様)の前で歌いたい」という心構えを表現したものでした。
「客の要望はなんでも受け入れます」ということではなく、芸を追求する自分自身に向けた言葉です。

バランスの取れた接客サービスとは

三波春夫さんの言葉が多くの人に間違って解釈されているということは、日本のサービスの在り方が歪んでいると言える一つの証拠かもしれません。
過剰な接客サービスはカスハラを促進することになりかねないため、企業や店舗はバランスの取れたサービスを提供することが大切です。

あくまで接客サービスは企業や店舗から提供するものであり、顧客が求める物をなんでも受け入れることではないということです。
もちろん、顧客満足度を上げるためには顧客のニーズを常に考えることが重要ですから、そのための観察や勉強は欠かせません。
そして考えうるサービスや商品を提供することも大切です。
しかし、顧客の全ての必要を完全に満たすことはできないこと、全ての要望に応える必要はないということを現場だけでなく、全ての社員が正しく認識していることも重要なのです。