許可の対象と要件
産業廃棄物収集運搬業許可は、自社以外の排出事業者の産業廃棄物を収集・運搬する際に必須です。取り扱える廃棄物の種類(廃油、廃酸・廃アルカリ、廃プラスチック類、廃バッテリーなど)を明示し、許可証には「積込地」「中間処理地」「最終処分地」の管轄都道府県知事名が記載されます。なお、自社で排出した廃棄物を自ら処分場まで運ぶ「自社運搬」には許可不要ですが、処理基準遵守や車両表示、マニフェスト携帯などの義務が残ります。
申請フロー(書類準備~審査)
申請先の確認
収集運搬を行う「排出事業場所在地」または「積替保管施設所在地」の管轄都道府県知事に申請します。
必要書類の用意
- 事業計画書
- 定款または登記事項証明書
- 車両の台帳(車検証等)
- 運転者および処理担当者の経歴書・履歴書
- 事務所・倉庫の配置図・使用権原証明
- 財務諸表または資金計画書 など
申請書提出と審査
書類を提出後、概ね40〜60営業日で現地調査や書類確認が行われ、要件を満たせば許可が交付されます。
遵守すべき管理・帳簿義務
許可取得後は、以下の法令遵守が求められます。
マニフェスト管理
収集・運搬時に産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付・回収し、3年間保存。
定期報告
毎年1回、運搬実績や廃棄物量を都道府県に報告。
車両表示
運搬車両に「産業廃棄物収集運搬業」の表示と許可番号を見やすく表示。
帳簿記録
廃棄物の種類・数量・排出事業者名・運搬日時などを日々記録し、保管します。
許可更新と注意点
許可の有効期間は5年で、更新申請は期限の6か月前から可能です。更新申請時には、これまでの報告書や帳簿を基に実績をまとめ、用途変更(例:積替保管を追加)等があれば追加申請を行います。許可内容を超える収集運搬や無許可運搬は罰則対象(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)となるため、管轄の要件変更や法改正情報は常にチェックしてください。
遵法経営がもたらす信頼向上
法令を遵守することで、顧客や取引先、行政からの信頼が大きく向上します。また、許可取得事業者としての証明は、取引先への安心材料になり、廃棄物処理をアウトソーシングする際の交渉力を高めます。コンプライアンスを徹底することでトラブルを未然に防ぎ、長期的に安定した事業運営を実現できるのも大きなメリットです。
