他社にない絶対的な強みを持とう
コア・コンピタンスとは、その会社の主軸となる強みのことをいいみます。
世界的に有名な経営学者のゲイリー・ハメル氏とC・K・プラハラード氏が1994年に発表したビジネス用語で、他社では実現できない利益を顧客にもたらすことのできる、企業独自のスキルや技術と定義しています。
コア・コンピタンスのコア(core)とは中核、中心といった意味で、コンピタンス(competence)には、能力・適性・技量・特質などの意味があります。
日本語にすると「中核となる技術や能力」となりますが、ゲイリー・ハメル氏とC・K・プラハラード氏の定義から考えると、次の3点の条件を満たす能力であるといえるでしょう。
第1点は、顧客に利益をもたらす能力です。
自社商品を利用することで、顧客が利益を感じられるかどうかが問われます。
たとえ優れた技術のある商品であっても自社にしか利益がなく、顧客には利益が感じられない場合は、誰からも支持されない商品となることでしょう。
商品開発時には、常に顧客の利益について配慮することが不可欠となります。
第2点は、競合相手が真似できない独自の能力があることです。
業界内では日々、シェア争いが続いており、自社製品の付加価値を生み出すためのさまざまな努力がなされています。
新技術を開発しても、競合他社にすぐに真似されるものであれば、それは失敗といえます。
新技術や新商品の開発では、他社が真似できない独自の付加価値を生み出すことが最大の課題となるでしょう。
第3点は、複数の商品や市場に応用できるかどうかです。
他社が真似できない独自の技術を開発しても、その後に異なる技術を使った安価で便利な商品を他社が開発したら、顧客はそちらの商品に流れてしまいます。
この時点で、大切に守ってきた自社のコア・コンピタンスが失われてしまうわけです。
このような状態に陥らないために、他の商品や他の市場でも活用できる応用力が求められます。
例えばFUJIFILMはカメラフィルムの技術を展開して、化粧品や医療品といった違う市場に参画し成功を果たしました。
5つの視点でコア・コンピタンスを見極める
その技術がコア・コンピタンスといえるかどうかは、真似できるか、移動できるか、代替可能か、希少価値が高いか、耐久性が高いかという5つの視点でふるいにかけると見極めやすくなります。
真似できるものはコア・コンピタンスとはいえません。
移動できるかどうかでは、さまざまな分野にその技術が応用できれば、幅広い商品展開が可能で将来性があります。
代替可能性では、その技術が他の技術に置き換えできない優れたものであることを判断し、さらに希少性の高さ、耐久性の高さというふるいにかけて、残ったものが本当のコア・コンピタンスであると判断できるのです。